「アンチエイジングナビ」では、日常の生活でできる老化対策(アンチエイジング)を中心に、肌や食事、運動、姿勢など、気をつけたいことや、老化に関わりのある成分などを取り上げています。
「最近、人のは名前が出てこなくなった」「物忘れがひどくなった」こんな経験は誰しもあるものです。
高齢社会を背景に認知症が急増し、「痴呆症」は「認知症」と改称され厚生労働省も「認知症を知る1年キャンペーン」を行っています。
30代、40代の健忘症などいやがうえにも認知症に対する不安が増す近年、脳のアンチエイジングへの関心も高まっています。
人体の構造上、距離的に近い歯と脳、そして恐らくは噛むことと脳は、密接に関連しているといわれています。「噛む」ということは、歯や口からの刺激が、脳に膨大な情報を送っているということなのです。
距離的に近くはあっても、一体どのようなつながり具合で歯と脳、顎と脳がリンクしているのでしょうか。また、歯や口への刺激を、ヒトはどのように受け取るのでしょうか。
頭の皮膚、口の中の粘膜や歯の感覚を支配する神経を三叉神経と呼びます。三叉神経は、歯や口への刺激を、脳幹の橋を経由して中脳へ、そして大脳内部の視床へと伝えるのです。
ヒトが物を噛みしめる際に力を生み出す筋肉を総称して、「咀嚼(そしゃく)筋」と呼びます。前歯で噛み切る運動をする側頭筋、咬筋などからなり、(子どもなら側頭筋が咀嚼(そしゃく)筋にあたります。)まさにものを食べるための咀嚼運動を行なう筋肉です。これが食物の硬さをはじめ、物理的性質を常時モニターし、脳の三叉神経にデータを送り込みます。
舌には口に含んだ食物の味をはじめ、およそあらゆるデータを収集する味蕾(みらい)センサーが備わっているし、唇をはじめ粘膜自体も優れたセンサーとして働いています。
こうして食事のたびに、咀嚼のたびに、途方もない量の情報が嫌でも脳に流れ込むというわけなのです。
全データのうち、ヒトの脳が口腔から受け取るものは非常に多く、その比率を約40%と見積もる研究者さえいます。食事によってヒトの脳は育てられたと言ってもいいほどなのです。
それではなぜ食事に関わる情報は、そんなに多いのでしょう?
それは、生命の故郷=海を離れ、陸上での生活を選んだ太古のヒトにとって、食事はそれはど切実な問題だったからだといわれています。エサを捕ろうにも、重力に引かれたカラダは重く、エネルギーの消耗も激しい。生存を懸けて、少しでも多く食べるためには、選り好みをしている余裕などなく、手当たり次第に物を口に放り込む、雑食しか選択肢はありませんでした。
しかし、この調子で食べ続ければ、いずれ毒にも出会う。それを飲み込む前に察知するべく、ヒトは鋭敏な味覚を発達させたに違いない。といわれているのです。
すなわち、噛むことをやめれば「脳への刺激が減る=老化する」ということなのです。脳のアンチエイジングはまず、「よく噛む」ことからからはじめてみましょう。
神奈川歯科大学の研究によると、1回あたりの食事に要する阻囁回数(所要時間)を比較すると、卑弥呼のいた弥生時代が3990回(51分)に対し、現代はたったの620回(11分)。6分の1以下に激減しているといわれています。
実際にネズミの実験などでも、硬い物は脳に刺激を与え、しっかり噛めば学習・記憶に役立つ化学物質 (*)が豊富に分泌される、といわれています。
(*)現在、動物の体内に存在し、記憶や学習に関連する化学物質として、いくつも の候補が注目されています。そのうちα−FGF(酸性線維芽細胞増殖因子)は新生児の脳の発達、脳細胞の再生修復、海馬の記憶中枢神経の活動促進などの作用が知られています。
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